「東」がつけば高円寺より落ち着いたムード
東高円寺
HIGASHI KOENJI
東京メトロ丸ノ内線で新宿から乗車し、杉並に入る最初の駅。高円寺といえばロックや古着などサブカルチャーの街として有名だが、JR高円寺駅から直線距離で約1キロ離れた「東高円寺」周辺ではサブカル色はほぼ皆無。 大きな池があり春は桜、秋は紅葉が美しい「蚕糸の森公園」と、区施設「セシオン杉並」の最寄り駅のひとつであることを除けば、昔ながらの平穏な住宅地といえる。
地域の氏神は「高円寺天祖神社」で、2月には近隣町会によるもちつき大会で盛り上がる。駅は青梅街道に面しており、駅前からは新宿駅西口、吉祥寺駅北口、中野駅や王子駅などへ行くバスが運行している。
東高円寺といえば、区立蚕糸の森公園。1980(昭和55)年まであった蚕の品種改良や飼育法を研究する「農林水産省蚕糸試験場」跡地を区立公園として整備。現在のセシオン杉並の場所にあった杉並第十小学校も公園内に移転して、1986(昭和61)年に開園した。 東高円寺駅は、1962(昭和37)年に新宿-荻窪間を結ぶ地下鉄荻窪線が開通した際にはなかった。しかし、「蚕糸試験場前」停留所があった都電杉並線が翌年廃止されたため、沿線住民の要望から荻窪線開通の2年後に新設された。 東高円寺は、蚕糸試験場と交通の発達によって形成された街といえるだろう。
女子美術大学、通称「女子美」。杉並キャンパスにはアート・デザイン表現学科と短期大学部、付属中学校・高等学校、大学院があり、卒業生は入江一子(画家)、堀文子(日本画家)のほか、イルカ(歌手)や樋口可南子(俳優)、伊藤理佐(漫画家)と多彩だ。 女子美から東高円寺駅までの道の途中には新渡戸文化短期大学もあり、街は女子学生が多い印象がある。
区立蚕糸の森公園や公園と敷地を共用している区立杉並第十小学校のグラウンドでは、子供から大人まで楽しめる大きなイベントも行われる。
すぎなみ名物 ファミリー駅伝は、例年2月に開催。4人1組のチームでエントリーし、事前に申告したゴール予想タイムと実際のタイムの誤差の少なさを競う。家族だけでなく、地域や職場の仲間でも参加可能だ。グループの結束を高めるためにも参加してみてはいかがだろうか。
東京土建まつりは、毎年秋に東京土建杉並支部が主催して開催。大工の指導による親子木工教室が人気。大滝のあるつどいの広場では子供向けに高所作業車、ショベルカーなど、重機の体験乗車もある。
エリア内に大きな商店街はないが、それぞれが個性ある活動を行っている。
商店街の通りは、中野方面から堀之内妙法寺へ続く道として、妙法寺檀家総代の関口兵蔵が私財を投じて1896(明治29)年に作ったとされる堀之内新道の一部にあたる。8月のニコニコ納涼大会は子供たちを始めとする地域の人びとで通行困難なほどの人出となる。
落語「堀の内」でも語られる、堀之内妙法寺の参道にある商店街。子育て世代の新しい住民と協働した「親子で街デビュープロジェクト」の取り組みが評価され、2016(平成28)年に「東京商店街グランプリ」を受賞。2017(平成29)年には中小企業庁「はばたく商店街30選」に選出された。
杉並第十小学校には一般利用も可能な温水プールがある。ジュニアアーティスティックスイミング(旧称シンクロナイズドスイミング)の教室も行われ、日本水泳連盟の強化選手が生まれている。