住宅地と緑が共存する住みやすい街
南阿佐ケ谷
MINAMI ASAGAYA
都立善福寺川緑地は約17万8千㎡、東京ドームの約3.8倍の広さで、都立和田堀公園と川沿いの遊歩道でつながっている。ジョギングや散歩、野鳥観察などが楽しめる、区内屈指の癒やしのスポットだ。一番おすすめしたいのは、約400本の桜が咲き誇る花見シーズン。特に五日市街道と川が交差する尾崎橋からの眺めは圧巻で、美しい風景に足を止める人も少なくない。
このエリアの青梅街道沿いには、1921(大正10)年から1963(昭和38)年まで新宿駅前から荻窪駅前をつなぐ路面電車(通称、都電杉並線)が運行していた。現在の杉並消防署付近にあった停留所名は「成宗(なりむね)」。これは1969(昭和44)年以前にあった町名で、「西田町」「東田町」と共に再編成され、現在は「成田東」「成田西」という住所に変わっている。だが、かつての町名が「成宗須賀神社」「なりむね児童遊園」「東田中学校」などに今も残り、親しまれている。
「阿佐谷七夕まつり」をはじめ阿佐谷地域で行われるイベントには、このエリアの多くの店や施設が協力している。
駅北側には、阿佐谷商店街振興組合(阿佐谷パールセンター)や南阿佐谷すずらん商店街振興組合を中心に、にぎやかに店が連なり、買い物や外食する店に事欠くことはない。駅南側はほぼ住宅街だが、少し足を伸ばすと、個性がキラリと光る店が点在している。
青梅街道から阿佐ケ谷駅南口まで続く商店街。阿佐谷の夏の風物詩「阿佐谷七夕まつり」のメイン会場となる。アーケードがあり、雨でも気にせずショッピングが楽しめる。
阿佐谷パールセンターにつながる商店街。商店街のキャラクター「あさすず」や、「猫と共存する街」をPRするなど、話題性に富んでいる。
「すぎ丸」(けやき路線)には、「阿佐ヶ谷住宅東」「阿佐ヶ谷住宅南」という停留所がある。「阿佐ヶ谷住宅」とは、1958(昭和33)年に住宅都市整備公団により整備された、赤い三角屋根のテラスハウス棟と、3~4階建ての中層住宅棟からなる全350戸の集合住宅の総称。老朽化のため、2013(平成25)年に惜しまれつつ解体されたが、周辺との調和や防災面を考慮した上で再開発され、現在はスタイリッシュなマンション群に変わった。当時も今も、自然豊かな緑地を臨める人気の住宅地である。