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杉並の東部を縦断!高円寺から和田までてくてく散歩

大人もゆっくり絵本を楽しめる「えほんやるすばんばんするかいしゃ」

大人もゆっくり絵本を楽しめる「えほんやるすばんばんするかいしゃ」

高円寺の「高円寺」

「こんにちは~。高円寺から和田まで、杉並区の東側をお散歩するよ。高円寺には“高円寺”という名前のお寺があるんだって」
高円寺駅から南東に徒歩約5分の「宿鳳山 高円寺(しゅくほうざん こうえんじ)」。当時の住職が3代将軍・徳川家光の知遇を得たことで寺名が広く知れ渡り、それまで小沢村と呼ばれていた村名を高円寺村に改めさせたのも家光といわれている。
「そうか!このお寺が“高円寺”という地名の由来なんだね~」
山門の脇の通路から、豊かな草木に囲まれた参道を進むと重厚なたたずまいの本堂に着いた。また、本堂の西側には「高円寺豊川稲荷」があり、昇龍と降龍が彫られた石の双龍鳥居は「東京三鳥居」(※)の一つとしても有名だ。
「阿佐谷南にある“馬橋稲荷神社”の鳥居も“東京三鳥居”の一つだよ~」

▼関連情報
杉並区>高円寺【寺院】(外部リンク)
すぎなみ学倶楽部 歴史>杉並の地図と地名>杉並の地名 文化財シリーズ19から

「宿鳳山 高円寺」の大きな寺標と山門

「宿鳳山 高円寺」の大きな寺標と山門

「彫られた龍の姿は迫力があるね~」

「彫られた龍の姿は迫力があるね~」

懐かしの絵本が見つかるかも⁉

高円寺の地名の由来を知り、駅南口のエトアール通り商店会をてくてく…。一本小道に入ると、
「あっ!早口言葉みたいな名前のお店を見つけたよ」
絵本の古本販売、自社出版などを手掛ける「えほんやるすばんばんするかいしゃ」だ。店主の荒木さんが「たくさんの絵本を読みたい」と2003(平成15)年7月にオープン。店名は好きな絵本『るすばんばんするかいしゃ』からつけたそう。
外からも見える明るい店内には、新刊やかわいいポストカードなどがたくさん並べられ古本屋といった感じはない。奥に進むと、温かな照明のギャラリースペースと古い外国の絵本が置かれた小部屋があった。
「隠れ家に来たような、落ち着いた気持ちで本を選べるよ~」

かわいい看板が目印

かわいい看板が目印

ついつい開きたくなる絵本がいっぱい

ついつい開きたくなる絵本がいっぱい

荒木さんは絵本について「多くの本は、電子書籍も含めいろんな装丁で販売されますが、絵本は形が変わると作品自体が違って見えることがあります。例えば、復刊した絵本を見て“これじゃないな”と感じたり、同じ作品でも古い本と新しい本で“好きの度合い”が変わったり。それが絵本の特殊なところだと感じています」と語ってくれた。
「このお店で、子供の頃読んでいたその時代の絵本と出合えるかもしれないね」
入荷した古本や自社出版物、ギャラリーの情報は店のホームページに公開されている。

▼関連情報
えほんやるすばんばんするかいしゃ(外部リンク)

こじんまりとしたギャラリースペース

こじんまりとしたギャラリースペース

まるでインテリアの一部のような外国の古い絵本

まるでインテリアの一部のような外国の古い絵本

憩いの空間「区立蚕糸の森公園」

絵本を楽しんだ後、「区立蚕糸の森公園」へと向かったなみすけ。この公園は、1980(昭和55)年まで、約70年間あった蚕糸試験場の跡地の一部に造られた。
「れんが造りの公園入り口門柱や管理事務所は、レトロな感じでとってもおしゃれだね~」
園内には四つの広場があり、体操をするグループ、日の当たるベンチでのんびり本や新聞を読んだり、スマホを見たりする人たち、芝生の上を元気に駆け回る子供、木の実をじっくりと探す親子連れなど思い思いに過ごしていた。また、大小の滝や池もあり、散歩をしながらさまざまな風景が見られて癒やされる。
「たくさんある樹木の中には、蚕が食べることで知られる桑の木もあるんだって。蚕糸試験場だった名残が感じられるね~」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>区立蚕糸の森公園
すぎなみ学倶楽部 歴史>【証言集】杉並の養蚕と蚕糸試験場>蚕糸試験場 設立から現在まで
杉並区>蚕糸の森公園(外部リンク)

蚕糸試験場の正門として使用されていた門柱

蚕糸試験場の正門として使用されていた門柱

小川の流れが楽しめる遊歩道

小川の流れが楽しめる遊歩道

見どころ満載!「堀之内妙法寺」

公園を出ると、青梅街道に面した対の大きな青銅の灯籠を発見。この灯籠は、明治時代に中野駅の開設とともに出来た妙法寺参道の入り口の目印にと、信者によって建てられた。1982(昭和57)年に区の有形民俗文化財に指定されている。
「そうだ!堀之内妙法寺へ行ってみよう!」
旧参道を歩き、途中で環状7号線を渡って、堀之内妙法寺境内の南にある仁王門に約10分で到着。仁王門の左右に安置された金剛力士像の間を通るなみすけ。
「あ・うんの呼吸でお寺を守る金剛力士像の目をみると、ドキドキするね」
門をくぐると大きな祖師堂が目の前に現れた。
「祖師堂の中の飾りは金箔(きんぱく)でキラキラ。お坊さんの読経を聞くと気持ちが落ち着くよ~」
祖師堂の東側には、1878(明治11)年、イギリスの建築家ジョサイア・コンドルが設計した国指定重要文化財の「鉄門」がある。
「門の上にある鳳凰(ほうおう)が、今にもふわ~っと飛んで行きそう」

▼関連情報
杉並区>妙法寺旧参道入口燈籠(外部リンク)
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の寺社>堀之内妙法寺
堀之内妙法寺(外部リンク)

見上げるほど高い旧参道入り口に立つ灯籠

見上げるほど高い旧参道入り口に立つ灯籠

「この門が出来た時、めずらしいデザインを一目見ようと多くの人が訪れたそうだよ~」

「この門が出来た時、めずらしいデザインを一目見ようと多くの人が訪れたそうだよ~」

アツアツ揚げまんじゅうで一休み

「たくさん歩いてちょっと一休みしたいな。あれっ、揚げまんじゅうののぼりがあるよ~」
妙法寺の東隣にある手打ちそばの店「清水屋」は、揚げまんじゅうが名物。正月三が日は、ここの揚げまんじゅうを求めて、妙法寺の初詣客で列ができるそうだ。
なみすけがアツアツの揚げまんじゅうを食べていると、清水屋2代目のおかみさんが声をかけてくれた。「なみすけ。今、新しい和菓子の試作をしているんだけど、よかったら作業場を見ていかない?」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 食>スイーツ>清水屋

商店会の盛り上げにセンニチコウを育て、地域交流にも力を入れているおかみさん

商店会の盛り上げにセンニチコウを育て、地域交流にも力を入れているおかみさん

「揚げまんじゅう、いただきま~す!」

「揚げまんじゅう、いただきま~す!」

作業場では、2代目店主であるご主人が熱心にあんをこねていた。普段は見られない作業場の様子になみすけも興味津々。「うまくいくかしら」心配ながらも明るい口調で話すおかみさん、その後ろで、寡黙に作業に打ち込む2代目店主。
「お隣にある仁王門とは違った“あ・うんの呼吸”が感じられるね」
出来上がったお菓子は桜が入った一口サイズのようかん。帰り際に、「なみすけにも試作品をプレゼント」とおかみさんがようかんをくれた。

職人のまなざしで作業に打ち込む2代目店主

職人のまなざしで作業に打ち込む2代目店主

独創的な作品を楽しもう!

おいしいおまんじゅうを食べてすっかり足取りも軽くなったなみすけ。和田商店街を通り「女子美術大学」へと向かった。
「この大学は、ほくの4コマ漫画を描いてくれているG3井田さんの出身校!ちょうど今、卒業制作展が開かれているんだって。どんな作品に出合えるかな?」
アートプロデュース表現領域の卒業制作作品展で、テーマは「楽園の出口」だ。10期生の石関さんは「個性を尊重し、伸び伸びと学ぶことができたここの環境はまるで“楽園”でした。目前に控える卒業は“楽園の出口”ということで、今回このタイトルに決まりました」と説明してくれた。(現在は終了)

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すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>読書のススメ>『てくてく×なみすけ 4コマ劇場』
すぎなみ学倶楽部 特集>杉並の大学・短期大学>女子美術大学・女子美術大学短期大学部 杉並キャンパス
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のアートスポット>女子美ガレリアニケ
女子美ガレリアニケ(外部リンク)

住宅街の中にある女子美術大学

住宅街の中にある女子美術大学

美術、音楽、演劇、映画などクリエイティブな感性を磨いて作られた作品の数々

美術、音楽、演劇、映画などクリエイティブな感性を磨いて作られた作品の数々

また、学芸員の永井さんはこの学科について「美術だけでなく音楽や演劇、映像など、幅広い表現を学び、規制のジャンルの枠組みにとらわれない総合的なプロデュース力を身につけられる学科です」と話す。
開催場所の「女子美ガレリアニケ」は、大学の付置機関「女子美術大学美術館」の一つで、年間約8回の展示会が開催されており、「社会とつながる」をテーマに地域の芸術振興に努めているそうだ。
「音や映像の作品、参加型アートなど、素晴らしい作品がいっぱい。ブラボー!」

れんがから聞こえる不思議な音。「骨など私の体中の音なんです」と中島さん

れんがから聞こえる不思議な音。「骨など私の体中の音なんです」と中島さん

自宅のトイレと同サイズのこの作品。「トイレは私の楽園」と笑う石関さん

自宅のトイレと同サイズのこの作品。「トイレは私の楽園」と笑う石関さん

善福寺川の終点へ

女子美術大学から南に進んで神田川・善福寺川の合流点に到着。都立善福寺公園内の善福寺池を水源とする善福寺川は、ここが終点となる。
「善福寺川と合流した神田川は、まだまだ都心へと流れていくんだね」
そろそろ、日が傾きかけてきたので、今日の散歩はここでおしまい。杉並の東部は、歴史のある神社仏閣も多いから、御朱印帳片手に散歩するのもおすすめだ。
「お店を発見したり、文化財や学生の刺激的な作品にも出合えたり、楽しかったよ~」

※東京三鳥居:杉並区の「高円寺境内稲荷神社」、「馬橋稲荷神社」と品川区の「品川神社」にある双龍鳥居を指す

神田川・善福寺川合流点

神田川・善福寺川合流点

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