「こんにちは~。高円寺から和田まで、杉並区の東側をお散歩するよ。高円寺には“高円寺”という名前のお寺があるんだって」
高円寺駅から南東に徒歩約5分の「宿鳳山 高円寺(しゅくほうざん こうえんじ)」。当時の住職が3代将軍・徳川家光の知遇を得たことで寺名が広く知れ渡り、それまで小沢村と呼ばれていた村名を高円寺村に改めさせたのも家光といわれている。
「そうか!このお寺が“高円寺”という地名の由来なんだね~」
山門の脇の通路から、豊かな草木に囲まれた参道を進むと重厚なたたずまいの本堂に着いた。また、本堂の西側には「高円寺豊川稲荷」があり、昇龍と降龍が彫られた石の双龍鳥居は「東京三鳥居」(※)の一つとしても有名だ。
「阿佐谷南にある“馬橋稲荷神社”の鳥居も“東京三鳥居”の一つだよ~」
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高円寺の地名の由来を知り、駅南口のエトアール通り商店会をてくてく…。一本小道に入ると、
「あっ!早口言葉みたいな名前のお店を見つけたよ」
絵本の古本販売、自社出版などを手掛ける「えほんやるすばんばんするかいしゃ」だ。店主の荒木さんが「たくさんの絵本を読みたい」と2003(平成15)年7月にオープン。店名は好きな絵本『るすばんばんするかいしゃ』からつけたそう。
外からも見える明るい店内には、新刊やかわいいポストカードなどがたくさん並べられ古本屋といった感じはない。奥に進むと、温かな照明のギャラリースペースと古い外国の絵本が置かれた小部屋があった。
「隠れ家に来たような、落ち着いた気持ちで本を選べるよ~」
荒木さんは絵本について「多くの本は、電子書籍も含めいろんな装丁で販売されますが、絵本は形が変わると作品自体が違って見えることがあります。例えば、復刊した絵本を見て“これじゃないな”と感じたり、同じ作品でも古い本と新しい本で“好きの度合い”が変わったり。それが絵本の特殊なところだと感じています」と語ってくれた。
「このお店で、子供の頃読んでいたその時代の絵本と出合えるかもしれないね」
入荷した古本や自社出版物、ギャラリーの情報は店のホームページに公開されている。
絵本を楽しんだ後、「区立蚕糸の森公園」へと向かったなみすけ。この公園は、1980(昭和55)年まで、約70年間あった蚕糸試験場の跡地の一部に造られた。
「れんが造りの公園入り口門柱や管理事務所は、レトロな感じでとってもおしゃれだね~」
園内には四つの広場があり、体操をするグループ、日の当たるベンチでのんびり本や新聞を読んだり、スマホを見たりする人たち、芝生の上を元気に駆け回る子供、木の実をじっくりと探す親子連れなど思い思いに過ごしていた。また、大小の滝や池もあり、散歩をしながらさまざまな風景が見られて癒やされる。
「たくさんある樹木の中には、蚕が食べることで知られる桑の木もあるんだって。蚕糸試験場だった名残が感じられるね~」
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公園を出ると、青梅街道に面した対の大きな青銅の灯籠を発見。この灯籠は、明治時代に中野駅の開設とともに出来た妙法寺参道の入り口の目印にと、信者によって建てられた。1982(昭和57)年に区の有形民俗文化財に指定されている。
「そうだ!堀之内妙法寺へ行ってみよう!」
旧参道を歩き、途中で環状7号線を渡って、堀之内妙法寺境内の南にある仁王門に約10分で到着。仁王門の左右に安置された金剛力士像の間を通るなみすけ。
「あ・うんの呼吸でお寺を守る金剛力士像の目をみると、ドキドキするね」
門をくぐると大きな祖師堂が目の前に現れた。
「祖師堂の中の飾りは金箔(きんぱく)でキラキラ。お坊さんの読経を聞くと気持ちが落ち着くよ~」
祖師堂の東側には、1878(明治11)年、イギリスの建築家ジョサイア・コンドルが設計した国指定重要文化財の「鉄門」がある。
「門の上にある鳳凰(ほうおう)が、今にもふわ~っと飛んで行きそう」
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杉並区>妙法寺旧参道入口燈籠(外部リンク)
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の寺社>堀之内妙法寺
堀之内妙法寺(外部リンク)
「たくさん歩いてちょっと一休みしたいな。あれっ、揚げまんじゅうののぼりがあるよ~」
妙法寺の東隣にある手打ちそばの店「清水屋」は、揚げまんじゅうが名物。正月三が日は、ここの揚げまんじゅうを求めて、妙法寺の初詣客で列ができるそうだ。
なみすけがアツアツの揚げまんじゅうを食べていると、清水屋2代目のおかみさんが声をかけてくれた。「なみすけ。今、新しい和菓子の試作をしているんだけど、よかったら作業場を見ていかない?」
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すぎなみ学倶楽部 食>スイーツ>清水屋
おいしいおまんじゅうを食べてすっかり足取りも軽くなったなみすけ。和田商店街を通り「女子美術大学」へと向かった。
「この大学は、ほくの4コマ漫画を描いてくれているG3井田さんの出身校!ちょうど今、卒業制作展が開かれているんだって。どんな作品に出合えるかな?」
アートプロデュース表現領域の卒業制作作品展で、テーマは「楽園の出口」だ。10期生の石関さんは「個性を尊重し、伸び伸びと学ぶことができたここの環境はまるで“楽園”でした。目前に控える卒業は“楽園の出口”ということで、今回このタイトルに決まりました」と説明してくれた。(現在は終了)
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すぎなみ学倶楽部 特集>杉並の大学・短期大学>女子美術大学・女子美術大学短期大学部 杉並キャンパス
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のアートスポット>女子美ガレリアニケ
女子美ガレリアニケ(外部リンク)
「妙法寺鉄門」(東京都文化財情報データベース)
https://bunkazai.metro.tokyo.lg.jp/il/meta_pub/G0000002jabunkazai_J111150037
女子美術大学美術館 公式ホームページ
https://www.joshibi.net/museum/index.html