セミの羽化を観察しよう(7月中旬~8月初旬)(ワークシートダウンロード)

神秘的な自然のショーを楽しもう

セミの羽化の時間帯や見つけやすい場所など、観察に役立つ情報をまとめました。ぜひ参考にしてください。自由課題にも使えるワークシートのダウンロードもできますので、夏休みの自由研究にも役立ててください。(※このページの写真は自由にお使いいただけます)

▼セミの羽化の動画 ※17秒
杉並区【公式】インスタグラム>セミの羽化
(撮影:2023年7月23日、都立善福寺川緑地成園橋付近)

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 自然>セミ>杉並区内に生息するセミの種類・セミの一生

観察の時期と持ち物

【時期】
セミの声があちらこちらで聞こえてくる夏休みのあいだ、とくに、7月の中ごろから8月の始めのごろは、たくさん羽化を見ることができる。

【時間帯】
セミは夕方から夜にかけて羽化する。
16時すぎより土から出てきて、木に登り始め、18~19時ごろから羽化を始めることが多い。カラから出てきて完全に羽化が終わるまでは、2~3時間近くかかる。

【持ち物】
かいちゅうでんとう(ヘッドライトがたが便利)、地図(公園マップなど)、ちょうさ票(ワークシート)やスケッチブック、筆記用具、さつえい用のデジタルカメラまたはスマートフォン、虫よけスプレーや虫よけの薬、うで時計など

【服そう】
虫さされたいさくを。長そで長ズボン、首の周りにはタオルなどを巻くといい。

持ち物

持ち物

羽化した直後は、きれいな青緑色(撮影:2023年7月23日21時09分、都立善福寺川緑地成園橋付近)

羽化した直後は、きれいな青緑色(撮影:2023年7月23日21時09分、都立善福寺川緑地成園橋付近)

場所

まだ明るいうちに下調べをしておこう。セミはきほんてきには、安全な木を高く登ったところで羽化するので、太い木のとちゅうで見つけることができる。
セミは羽化するときに好みの木を選ぶようだ。人気のスポットがあるのか1まいの葉のうらに何びきも集まることもある。

<羽化が見られそうな木を見つけるポイント>
①セミのぬけがらがたくさん、みきや葉についている木
②木の根元にあながいくつもあいている(セミのよう虫が地面からたくさん出てきたあと)
③サクラやケヤキ、アキニレの木に多くいる(コブシの木もねらい目)
④大きな木だけでなく、アジサイやサツキなどでも羽化することがある

木を登るよう虫(撮影:2021年7月25日20時15分、都立善福寺川緑地成園橋付近)

木を登るよう虫(撮影:2021年7月25日20時15分、都立善福寺川緑地成園橋付近)

根本に穴がたくさんあいている木がねらい目

根本に穴がたくさんあいている木がねらい目

注意点

<羽化中のセミにさわらない>
羽化のとちゅうで木から落ちるセミもいるが、さわると羽がゆがんで、きちんとしたセミになれないことがある。助けたい時は 木の葉っぱにのるように手助けして、えだなどにつかまらせよう。羽化のとちゅうで羽にさわったりすると、たいえきがせんたんまで行かずに、そこで成長が止まって、きけいのセミとなり生き残れない!

<夜なので静かにしよう> 
羽化は、早いセミでは夕方から始まり、2~3時間かかる。近所に住んでいる人のめいわくにならないよう、静かに観察しよう。

<ライトの当てすぎはひかえよう>
動画をさつえいするときにライトを当てすぎると、セミにふたんがかかってしまうかもしれない。ライトは長時間当てないようにしよう(カメラのフラッシュなど一時的な光はだいじょうぶ)。

<大人といっしょに行動しよう>
夜の公園はたいへんきけん。かならず大人といっしょに行動しよう。

羽化の始まり(撮影:2021年7月25日20時22分、都立善福寺川緑地 成園橋付近)

羽化の始まり(撮影:2021年7月25日20時22分、都立善福寺川緑地 成園橋付近)

じょじょに羽が広がっていく(撮影:2023年7月23日21時14分、都立善福寺川緑地 成園橋付近)

じょじょに羽が広がっていく(撮影:2023年7月23日21時14分、都立善福寺川緑地 成園橋付近)

羽化の観察におすすめの杉並区内の公園 ※2024年6月17日加筆

区内では、東京都立和田堀公園、東京都立善福寺川緑地、杉並区立井草森公園、杉並区立柏の宮公園、杉並区立塚山公園などが、羽化の観察におすすめだ。
そのほかの公園でも、次のような場所は羽化を観察しやすい。
・木がしげっていて、しめった場所
・前年にセミのぬけがらが多くみつかった場所
・セミの鳴き声がよく聞こえる場所

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>東京都立和田堀公園
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>東京都立善福寺川緑地
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>杉並区立井草森公園
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>杉並区立柏の宮公園
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>杉並区立塚山公園

ワークシートPDFと研究のヒント  ※2024年6月17日加筆

観察方法を簡単にまとめた表紙と、書き込むためのワークシートのPDF(2ページ)です。ご家庭のプリンターに合わせたサイズで印刷して使用することができます。

<さらに研究したい人へのヒント>
・地図や公園マップを使って、どんな場所にどんな種類のセミがいるのか記録してみよう
(例)トイレのかげ・しめったうす暗い場所(ニイニイゼミが好む)

・セミが羽化する木の種類を調べてみよう
(例)ウメ(ツクツクボウシが好む)、クスノキ(クマゼミが好む)

PDF:ワークシート(1.3 MB )

杉並区内のセミの変化 ※2024年6月17日加筆

例年7月にNPO法人すぎなみ環境ネットワークが主催するイベント「セミの羽化を観察しよう」で講師を務めている境原達也さんに、2024(令和6)年現在の区内のセミの様子について教えてもらった。
「ここ数年は、セミの羽化が7月中旬ごろから見られ、以前よりも開始時期が少し早まっています。夏の終わりに鳴くツクツクボウシも、最近は7月ごろから出てきていますね。主に西日本に生息しているクマゼミの鳴き声も、井草森公園あたりでよく聞こえるようになりました。一方で、木が多く湿った暗い場所を好むニイニイゼミやヒグラシの数はかなり減ってきています」
また、以前は田舎でよく見られたミンミンゼミが、ここ10年ほどで急速に数を増やしているそうだ。ミンミンゼミは環境の変化や暑さに強いとのこと。温暖化や都市化などに伴い、区内で見られるセミの種類や成長などに変化が現れている。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>杉並の地域活動>NPO法人すぎなみ環境ネットワーク

自宅でセミの羽化にチャレンジ

生き物が大好きな中学生が、自分の家でセミの幼虫を羽化させたときの様子を紹介!

■2014年8月9日のレポート
善福寺川近くの道の上で、セミの幼虫がひっくり返ってバタバタしているのを発見。このままでは誰かに踏まれてしまう!家に連れて帰って見守ることにした。

16:10 写真①
幼虫が羽化するには、しっかりとつかまりながら上っていける足場が必要。この日は風がなく晴れていたので、家の網戸の外側にとまらせた。幼虫は自分の力で網戸を3cmほど上ったあと、網をガッシリつかんで動かなくなった。
…そのまま2時間が経過。幼虫は同じポーズのままジッとしている。

18:40 写真②
ついに背中の部分の殻が割れて、中から白い体が現れた!

19:20 写真③
だんだんと上半身が出てくる。やがて逆さまに。

19:42 写真④
腹筋運動のように起き上がり、全身が殻から出た。自分の抜け殻につかまって体が固くなるのを待っている。

23:55 写真⑤
羽が茶色になった。アブラゼミだ!

うれしいことに、羽化は無事に成功!
セミが飛び立ったあとの網戸には、抜け殻がシッカリくっついていた。

DATA

  • 取材:野上優佳子、加藤智子、にっしー
  • 撮影:TFF、にっしー
  • 掲載日:2008年07月01日
  • 情報更新日:2024年06月17日

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