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シェアサイクルでお手軽ツーリング(前編)

杉並区役所をはじめ、区内各所にサイクルポートが設置されている

杉並区役所をはじめ、区内各所にサイクルポートが設置されている

杉並区内500カ所以上で借りられるシェアサイクル

杉並区内の各所で赤や白、緑色をした自転車を見かける機会が増えている。これらはシェアサイクルと呼ばれるサービスの電動アシスト付き自転車だ。区内の施設や公園、駅前、住宅地などに設置されたサイクルポート(専用の自転車駐輪場)で自転車を借り、目的地付近のサイクルポートで返却できる。レンタカーやカーシェアとは異なり、出発したポートに返す必要はない。自転車の予約、解錠、返却、利用料の支払いは、スマートフォンで行う。
2024(令和6)年9月現在、区内には500カ所以上のサイクルポートが設置されている。歩くには少々遠いところや、公共交通機関が不便なところに行くときなどに重宝するだろう。もちろん区内に点在する観光スポットを回る際にも活用可能だ。

シェアサイクルを気軽に利用して、区内の見どころを縦横無尽に散策!

シェアサイクルを気軽に利用して、区内の見どころを縦横無尽に散策!

三つの運営事業者が区内でシェアサイクル事業を展開

杉並区では2021(令和3)年度からシェアサイクル事業の実証実験を開始。同年12月からOpenStreet株式会社(ハローサイクリング)、翌年2月から株式会社ドコモ・バイクシェア(ドコモ・バイクシェア)その後、株式会社Luup(LUUP)が参画して、実証実験を行った。2023(令和5)年度から区と三つの運営事業者がシェアサイクル事業に本格的に取り組んでいる。
事業の目的の一つは、区民の移動手段を多様化し、公共交通機関を補完・代替することだ。交通企画担当課長は、区内では鉄道路線が東西に走り、南北の移動にやや難があることを踏まえ「シェアサイクルを利用すれば、区内の縦方向の移動がしやすくなります。また、災害時に既存の公共交通機関が使用できなくなった際の移動手段としても有効です」と説明する。

▼関連情報
杉並区シェアサイクル事業(外部リンク)

白いボディが目印のハローサイクリング

白いボディが目印のハローサイクリング

写真手前の赤い自転車がドコモ・バイクシェア。奥の緑色の自転車がLUUP

写真手前の赤い自転車がドコモ・バイクシェア。奥の緑色の自転車がLUUP

「MaaS(マース)」とも連携 

区はシェアサイクル運営事業者と協定を結び、サイクルポートに使用する区用地の提供などで協力。今後は区立公園や区が運営する駐輪場などにもサイクルポートを設置・増設していく予定だ。
運営事業者の提供データによると、利用者は20~30代が多いが、60代の利用実績もあり、幅広い年代に使用されている。母親と子供が自前の自転車に乗り、普段自転車に乗らない父親がシェアサイクルで一緒に出掛ける例もあり、親子の外出もサポートしてくれる。
2024(令和6)年秋以降、区では鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関を横断的に検索し、ベストな経路を紹介するインターネットサービス「MaaS」を導入する。公共交通機関を補完する役目を持つシェアサイクルの情報もサービスの検索結果に含まれる。シェアサイクルの活用で、区内の移動に不便を感じるシーンは確実に減っていくだろう。

2024年度には杉並区立杉並児童交通公園などにサイクルポートが設置された

2024年度には杉並区立杉並児童交通公園などにサイクルポートが設置された

3種類のサイクリングコースを紹介

シェアサイクルで区内の観光スポット巡りを楽しめるモデルコースを3つ作成した。

●コース①
京王井の頭線沿線エリアを巡るコース(約7㎞)
杉並区役所(スタート)⇒高井戸駅(ゴール)
スポット:杉並区立郷土博物館・大宮八幡宮・杉並区立塚山公園など

●コース②
西武新宿線沿線エリアを巡るコース(約11㎞)
杉並区役所(スタート)⇒下井草駅(ゴール)
スポット:杉並区立妙正寺公園・井草八幡宮・ガンダム像など

●コース③
JR中央線沿線エリアを巡るコース(約16㎞)
杉並区役所(スタート)⇒高円寺駅(ゴール)
スポット:Aさんの庭、堀之内妙法寺、IMAGINUSなど

この記事ではコース①を紹介しよう。コース②と③は後編で取り上げる(2024年秋に公開予定)。

どのコースも、杉並区役所のサイクルポートからスタート

どのコースも、杉並区役所のサイクルポートからスタート

コース①-1 杉並区立郷土博物館を目指して出発!

残暑が厳しい8月下旬、杉並区役所の青梅街道に面した場所にあるサイクルポートにやってきた。今回はハローサイクリングを利用。約7kmというコースを踏まえ、3台並ぶ自転車の中から、充電が80%以上のものを選択した。ブレーキレバーに問題ないか、タイヤに空気が入っているかをチェックすることも肝心だ。
杉並区役所を出発し、すぐに青梅街道を横断してから梅里の住宅街を走行する。電動アシスト付き自転車は踏み出しがとても楽なので、張り切ってこぎすぎるとかなりのスピードが出てしまう。住宅街ではスピードに注意しながら走行しよう。
杉並区立梅里中央公園を左手に見ながら南下し、五日市街道を横断。落ち着いた雰囲気の松ノ木の住宅街を抜けて杉並区立郷土博物館に到着した。ここでは、杉並の歴史が分かる常設展示や、敷地内にある古民家などを見ることができる。自転車置き場に駐輪して見学しよう。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のさまざまな施設>杉並区立郷土博物館

落ち着いた雰囲気の松ノ木の住宅街を快走

落ち着いた雰囲気の松ノ木の住宅街を快走

杉並区立郷土博物館。企画展も興味深い

杉並区立郷土博物館。企画展も興味深い

コース①-2 急坂もラクラク上って行ける

郷土博物館から東京都立和田堀公園へ向かう。公園内に入ると木々が夏の日差しを遮ってくれて、風を受けながら心地よく走れた。園内には区立ドッグラン広場があるので、タイミングが合えば元気な犬たちが走り回る姿も見られるだろう。和田堀池の近くにある「つり堀 武蔵野園」に立ち寄って、釣りやランチを楽しむのもおすすめだ。
和田堀公園から大宮八幡宮へ向かう道には急坂が。電動アシスト付き自転車のアシストを受けて苦もなく上り切ると、目の前に赤い大きな鳥居が飛び込んできた。ここが大宮八幡宮だ。参拝を済ませた後には、隣接する大宮の杜緑地を訪れよう。緑の豊かさに癒され、疲れも吹き飛ぶにちがいない。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>東京都立和田堀公園
区立ドッグラン広場(外部リンク)
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の寺社>大宮八幡宮
大宮の杜緑地(外部リンク)

真っ赤な大鳥居がシンボルの大宮八幡宮

真っ赤な大鳥居がシンボルの大宮八幡宮

大宮の杜緑地では、和風庭園のような池や草木が見られる

大宮の杜緑地では、和風庭園のような池や草木が見られる

コース①-3 西永福駅前の商店街で土産をゲット

大宮の杜緑地を後にして西永福駅前の商店街へ。店舗を回って土産を探してみては。製菓工房店「CQL」は、オレンジピール入りのビターチョコレートが名物だ。
京王井の頭線の線路を越え、永福町や浜田山の住宅街を走行。やがて旧下高井戸村の鎮守様である下高井戸八幡神社に着いた。境内には1959(昭和34)年に落成した拝殿・覆殿のほか、稲荷神社などの末社もある。ここまでの行程の無事を感謝し、この先の安全を祈願した。
その後は神田川遊歩道を走行。水辺の爽やかさを感じながら西へ進む。鎌倉街道を渡ったところにあるのが杉並区立塚山公園だ。目玉はなんといっても復元した縄文時代の竪穴住居。中では縄文人が生活する様子を人形で再現しており、太古の歴史に思いを馳せられる。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 食>スイーツ>CQL
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の寺社>下高井戸八幡山神社
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>杉並区立塚山公園

西永福駅前の商店街では買い物が楽しめる

西永福駅前の商店街では買い物が楽しめる

塚山公園には竪穴式住居のレプリカが建てられている

塚山公園には竪穴式住居のレプリカが建てられている

コース①-4 杉並清掃工場の煙突が見えたらラストスパート

再び神田川遊歩道を気持ちよく走りながら、ラストスパート。右手に杉並清掃工場の白い煙突が見えてきたら高井戸駅は目前だ。環状8号線を横断して、サイクルポートのある京王線高井戸駅の駐輪場の駐輪場に到着。しっかりと自転車にロックを掛け、返却手続きを済まそう。スマートフォンで返却完了の通知を確認したら、「Coffee Beans Shop 高井戸」など、駅近くの店に寄って一休みしてはいかがだろうか。杉並清掃工場に併設されている環境学習施設「高井戸の里 あし湯」で疲れを癒すのもいいだろう。
今回利用したハローサイクリングの自転車は、タイヤの口径が26インチで一般的なシティサイクルと同じ。安定して操縦しやすい。また、ギアと電動アシストのモードがそれぞれ3段階あり、路面状況に合わせて選択し、快適に走行できる。初めてシェアサイクルに乗る人も無理なく扱えるだろう。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のさまざまな施設>杉並清掃工場
すぎなみ学倶楽部 食>総菜・飲料・その他>Coffee Beans Shop 高井戸

ハローサイクリングは鍵に付いたボタンを押して返却

ハローサイクリングは鍵に付いたボタンを押して返却

基本的なシェアサイクルの利用方法

①使用するシェアサイクル事業者のアプリをスマートフォンにインストールする
②支払い方法を登録する(クレジット決済、二次元コード決済など)
③アプリの地図上から出発するサイクルポートを選び、表示された自転車の一覧から使用する車両を選ぶ。バッテリー残量が表示されるので、乗車する距離に応じて適切な自転車を選ぶこと
④出発するサイクルポートに行き、予約した自転車のブレーキが作動するか、タイヤに空気が入っているかなどを確認する
⑤車両に問題なければ、アプリを操作して自転車を解錠する。自転車の操縦方法は一般的な車両と同じ。使用中、施錠して施設見学や飲食、買い物などをすることも可能(駐輪中も利用時間に含まれる)
⑥返却したいサイクルポートに着いたら、空きスペースを確認して駐輪。施錠して、アプリで返却作業をすれば返却完了。使用した運営事業者のサイクルポートにしか返却できないので注意

※駐輪されている自転車によっては掲示された二次元コードを読み込むことで自転車の予約や解錠が可能になる
※アプリで事前予約せず、直接現地で自転車を確かめて手続きしてもよい

スマートフォンの操作画面。地図上からサイクルポートを選択

スマートフォンの操作画面。地図上からサイクルポートを選択

乗車前には、ブレーキなど自転車のチェックを忘れずに

乗車前には、ブレーキなど自転車のチェックを忘れずに

DATA

  • 取材:水野二千翔
  • 撮影:水野二千翔、TFF
    取材日:2024年06月27日、08月22日
  • 掲載日:2024年09月30日